2026/10/28 22:13
最近では、こだわったチョコレート作りをしているお店に「Bean to bar(ビーントゥーバー)」という言葉が使われているところも出てきました。
「聞いたことはあるけど、ちゃんとは分かってないかも。」
という方も多いですし、言葉自体を初めて聞くと「え、バー?お酒のこと?」なんて思われる方もいます。確かに、なんかカッコつけてそうな英語で分かりにくい。
そこで、今回はこの「Bean to bar」とは何なのかについて基本的な説明をしていきます。

結論
ビーントゥーバーとは、「Bean(カカオ豆)」から「Bar(板チョコ)」までのすべての工程を一つのお店や会社で行うチョコレート作りのことです。特定の商品や、お店のことではなく、作り方やスタイルのことなんですね。各工程や、カカオ豆の素材選びにまでこだわることで、そのお店ならではの味わいや個性が強く出ていることも大きな特徴の一つです。

ここで一つ疑問が浮かぶかと思います。
「チョコってどれもカカオ豆から作るんじゃないの?」と。
それはそうなのですが、「どこまでを自分達でやるか」というのが普通のチョコとの違いになってきます。ほとんどの場合は大量のチョコレートの塊を仕入れて、それを加工して商品化するのがチョコレート製造の主流です。つまり、製菓用チョコレートを作る「原料メーカー」と、最終製品に仕上げる「製菓メーカー」と分かれています。この原料用のチョコは、日本でも作られていますが、ヨーロッパを中心とした海外で作られているものを見かけることの方が多いです。
一方、ビーントゥーバーでは、チョコの原料であるカカオ豆自体の選別から焙煎、練り上げ、固めるところまで全部を自分たちで行います。小さなお店で大きな機械を使わずに手作業で作ることが多いため、その分時間もかかります。そのため、材料や手間の分だけ値段が高めに設定されていることが多いです。

最近では、小さな工房で手作りされるスタイルから「クラフトチョコレート」と呼ばれることもあったりします。(正確に言えばその線引きは少し違うのですが、そこはまた別の記事にて。)
味の違い
では、味に関してはどう違うのでしょうか。
「チョコの味の違いなんか、ソムリエみたいな人なら分かるかもだけど、だいたい同じじゃないの?」
いいえ、全然違うし素人でも分かります。僕自身、別に味に繊細ではないラーメン好きの学生だった時に初めて食べて、「なんだこれは、、、!」と驚いたのをハッキリと覚えています。そこで、市販のチョコとは味が違うポイントをいくつか説明していきます。
ポイント① カカオの産地で味が違う
実はカカオがどの国で作られているかによって、全然味が違います。他の作物に例えると分かりやすいのですが、お米でも日本のお米と、タイのお米では全然味わいが違いますよね。もちもちのお米か、パラパラのお米か、みたいに品種も違います。同じように、カカオにも様々な品種があるため、苦みが強いものもあれば、フルーツのような酸味が強いもの、など特徴が様々なのです。さらには、同じ品種だったとしても、その土地ごとの栄養を吸収して育つ作物なので、当たり前に違ってくるのです。
ポイント② 発酵で香りが変わる
実は、チョコレートは発酵食品でもあります。良質なカカオ豆は、現地の微生物の力で3~7日ほど発酵させられます。日本では、味噌や醤油などが発酵食品として代表的ですが、カカオも同じように発酵によって特徴的な味わいや香りができあがります。きちんと発酵できていないカカオは渋味や苦みが強かったりしますが、丁寧に発酵することで、苦みが収まり、さらに複雑な味や香りの素が生み出されます。国によっても、同じ国でも農園によって住んでいる微生物が異なるので、発酵で生み出される香りも違ってきます。

ポイント③ 焙煎にこだわる
チョコレート特有の美味しい香りは、実は焙煎によって引き出されています。自家焙煎コーヒーをイメージすると分かりやすいのですが、深入りだとコク深い味わいになったり、浅煎りだと華やかな香りになるように、カカオも焙煎のやり方によって味が変わります。この時に生まれる香りの成分は1000種類以上あると言われていて、フルーティーな香り、ハーブのような香り、甘い香りなど様々です。ビーントゥーバーのチョコレートは、品質のよいカカオが使われることが多いため、この焙煎にこだわって、個性的な味わいを引き出したものが多いのです。

ポイント④ カカオの含有量が違う
最後に、ビーントゥーバーのチョコレートは、市販のチョコよりもカカオの含有量が多く設定されていることが多いです。「カカオ70%」というような表記の、この70%がカカオの含有量です。その理由のひとつは、質がいいカカオを丁寧に焙煎されたチョコは、ただ苦いだけではないからです。もちろん、全てのビーントゥーバーが高カカオなわけでもなく、甘党の方でもおいしく食べてもらえる商品もあります。味の違いのポイント①、②、③でも書いたように、市販の高カカオチョコでイメージする味わいとはきっと違うと思うので、むしろ「苦いチョコは苦手」という方にも、一度食べてみて欲しいです。

選び方
始めてビーントゥーバーを食べる方に向けた選び方をご紹介します。まずは、ポイントでもお伝えしした、カカオの産地で選んでみて下さい。産地ごとで味の傾向がある程度は当てはまることが多ので、いくつか代表的な産地と味の特徴を説明します。
・ガーナ
カカオ感が強く、良質なものはココナッツのような甘い香りもあります。日本人がイメージする「チョコらしい」味わいで、誰からも受け入れやすい味です。

・タンザニア
ブドウのような酸味があり、フルーティーな味わい。コーヒーでも浅煎りや中煎りのような果実感のあるコーヒーが好みの方におススメです。
・エクアドル
お花のような個性的で華やかな香りが特徴。酸味が苦手な人でも受け入れてもらいやすく、ジャスミンティーのような、香り高い飲み物などがお好きな方におススメ。
その他にも、様々な産地で味わいが異なるので、ぜひ注目してみて下さい。
専門家としてのおすすめ
ビーントゥーバーは、地元ならではの特徴を活かしたチョコレートも多いです。例えば、沖縄県にあるお店 OKINAWA CACAO では、シークワーサーや泡盛など、 沖縄素材をふんだんに使った商品 ばかり。また、パッケージに地元で作られる和紙が使われたり、地域のコーヒー屋さんとコラボした商品だったり。その土地ごとの地域性が現れていることもおもしろさの一つなので、そこにも注目して選んでみて下さい。

関連商品
この記事を読んでもらった方に、おすすめのチョコレートを3つご紹介します。
ビーントゥーバーらしい「フルーティーなチョコレート」を、すごく分かりやすく感じてもらえるのがこちらです。僕が最初に出会った驚いたビーントゥーバーのチョコレートが、タンザニアのカカオでもあります。ザクザクの食感も合わさって、いわゆるチョコではなく、「カカオ」をダイレクトに体感してもらえるかと思います。

甘さがあるチョコの方が好きな人にもビーントゥーバーの美味しさを体験してもらえるチョコレートがこちらです。ガーナ産カカオがもつ、まろやかな甘みや香りが最大限引き出されていて、一般的なミルクチョコレートよりもカカオ含有量は多いですが、苦いと違う上質さを感じてもらえるかと思います。

⓷明治 THE Cacaoシリーズ
コンビニや量販店でも購入することができる、一番目にする機会が多いビーントゥーバーがこちらです。大手でビーントゥーバーのシリーズを作られているメーカーは珍しく、カカオの個性も引き出されていながら、初めて食べる方にも受け入れてもらいやすい味わい、購入しやすい価格と、バランスがよいので見かけた時にはぜひ試してみて欲しいです。
最後に
何を選んでいいか分からないけどおもしろそう、試してみたい!という方は、ちょこれいじの定期便 もおススメです。まだ知らない日本のローカルのチョコに出会うことができます。

みなさんのチョコ選びが、より楽しくなりますように!
