2025/04/07 00:00

4/15から約1ヶ月をかけて、エクアドル~メキシコにかけていくつかのカカオ産地を巡ってきます。この旅にかける想いをお伝えしたいなと思って、少し長くなりますが綴りました。
■旅程(4/15-5/15予定)
・エクアドルに約2週間滞在予定
広島大学名誉教授の佐藤清隆先生とママノチョコレート主催のツアーに参加します。カカオの原生林に入り、野生のクリオロと呼ばれる原種に会いに行きます。
その後もいくつかの農家や、共同組合の仕事を見学させていただきます。可能であればその後も、コーヒー農園などを紹介頂き、訪問できればと思っています。
・コロンビア、コスタリカ、グアテマラいずれかの国に約1週間滞在予定
クオリティの高いカカオやコーヒーの有名な産地として知られる国が中南米には多いです。訪問先を確定させれていませんが、どこかのカカオやコーヒー農園を視察させてもらいたく、現在調整中です。
・メキシコに約1週間滞在予定
メキシコにもカカオの原種が存在していて、僕もメキシコ産カカオのチョコを取り扱っています。そして、歴史的にカカオと縁が非常に深いマヤ文明発祥の地でもあります。人々の生活とカカオの関わり深い国でもあるため、農園以外にも、カカオにまつまる文化的なものを体験できればと思っています。
■渡航を決意した背景①
『カカオの起源に直に触れたい!』
日本各地でクラフトチョコのことを語り、伝える活動をしていますが、同じようにカカオのことについて話す機会も多く、出会う人にも聞かれます。アジアのカカオ産地は訪れましたが、国や文化が違えば、カカオの品種も文化も歴史も違います。
今回行くエクアドルやメキシコはカカオの原種が存在する地であり、品種や文化も歴史としても起源に生で触れることができ、チョコ人間としては、聖なる場所とも言えるほど貴重なのです。
純粋に、そんなカカオに会いたい、原生林の空気を感じたいです。その感動は、きっと誰かに伝えたくなる気がしています。
■渡航を決意した背景②
『共に行動する人たちが素晴らしく、絶対に学びが多い』
エクアドルの原生林へのツアーに参加する人達も決め手の要因です。
まず、このツアーの発起人でもある佐藤清隆先生は僕がチョコレートを学んでいた広島大学の名誉教授で、チョコレート界ではよく知られる第一人者です。本もめっちゃ書いてます。
佐藤先生は定年も過ぎていますので、一緒に現地を周れる機会なんてもう二度とないかもしれません。生きるチョコ字引のような先生と共にカカオ産地を周ることで、現地ではどんな情報交換を現地農家とし、カカオの良し悪しなどをどんな視点で観測するのかなど、ごっそり知見をいただけたらと思っています。(大学からチョコの研究者ももう二人来られます。)
そして、企画を組んでくださっているママノチョコレートさんは長くこの現地農家や組合とパートナーシップを築き、森を守る取組をやりながら、カカオの輸入だけでなく、国際協力や大使館での講演などもやられています。地球や人や資源が長期的で良好な状態である社会のために、どんな取組みを実際やられているかを学べたらと思っています。
さらに、世界的な大会で賞を取られているパティシエさんや、地域資源を活かすクラフトチョコ職人。あらゆる分断をなくす活動をしている「旅するカカオ屋」さんなど、さまざまな方々と一緒なのは、得られる視点や気づきがとても多いはずです。
■渡航を決意した背景③
『生産現場の技術や違いを知りたい』
クオリティの高いカカオやコーヒーの有名な産地として知られる国が中南米には多いです。実際に質のいいと言われる中南米のカカオのチョコを食べたり、コーヒーを飲んだりすると、驚かされることが何度もありました。
コーヒー業界の方達と話をしていると、発酵のやり方、品質基準の決め方、味の評価などクオリティに関する知識がカカオに比べてすごく体系化されている気がしました。
カカオでも遺伝的な研究がされている地域は中南米にもあると聞いていますし、アジア等の産地と比べると歴史が長いからかもしれません。
とにかく、「技術」や「クオリティ」が中南米にはきっとあり、それは何に由来するのか、違いは何なのかをきちんと知りたいし、伝えたいし、いずれは自分でも活かせるようにもなりたいと思っています。
■渡航を決意した背景④
『カカオの歴史と文化を感じたい』
カカオはマヤ文明の時代に神への捧げものとして儀式で使用されていたり、貨幣として使用されていた時代もあったり。カカオにまつわる道具や遺跡などの多くはメキシコを中心とする中南米から見つかっています。
そして、メキシコでは今でも路上のマーケットでカカオが売られていたり、チョコラトルという古来からのスタイルでカカオとスパイスのドリンクが飲まれていたり、カカオを使った伝統料理があったり、カカオが生活や文化として残ってもいます。
神にまつわる聖なる領域や、大衆の私生活、カカオと共に栄えてきた文化を生で体験してみることは、ちょこれいじとしての厚みに繋がると思っています。そして、その体験の何か一部でも日本で落とし込める形が見つかればと思っています。
■渡航を決意した背景⑤
『クラフトチョコレート個展の材料にしたい』
旅中多くの方から聞かれたことは、「最終的にはどうするんですか?」という質問。僕がどうなっているかは分からないけど、「クラフトチョコレートという選択肢を文化として根付かせたい」これはスタートしてから言い続けていることで、今も変わりません。
そして、「どこのチョコ屋が一番美味しかったですか?」という質問も一番多く聞かれたかもしれません。でもその度に毎回、「まじで一番とかないし、決められません」と答えています。なぜかというと、どのチョコもほんっとーーーーに個性が違うし、同じジャンルではくくれないからです。
今はそれほどまでにたくさん、深く、知りすぎちゃったのだと思います。たった一言では伝えられないチョコの魅力、作り手の魅力、地域の魅力。どのチョコレートも、独自の目指す姿を極め続けている、それぞれの最高なチョコレートです。
誰よりもその面白さを直接感じてきたからこそ、そこで蓄積してきた体験を多くの人に感じてもらえるカタチを何かつくりたい。その一手として、全力の個展をやりたいなと思っています。
全国のローカルのこと。チョコレート職人のこと。カカオ農園のこと。チョコと何かを組み合わせる可能性のこと。カカオと健康のこと。カカオと自然のこと。カカオの歴史と文化のこと。
どれだけのことを落とし込めるかは分かりませんが、地球の反対側で可能な限りのインプットをしてくるつもりです。